クレセントサイダー / Crescent scythe

Ro的利用価値 : A+
通称、"バフォ鎌"
ランスと同等のAtkを持ち、Cri武器として優れた性能を誇る
唯一の欠点がグラフィックであることは、あまりにも有名

多少重いことを別にすれば、間違いなく最高のCri武器であり
Cri武器自体の有用性には多くの意見があるが、
槍クルセにとっては非常に優秀と言える
Hit+10も地味に嬉しい

モロク精錬の神アラガム・サレーによると、綴りは"Crescent Scythe"
何処をどうやって「サイダー」になったかは謎

直訳すると、Crescent = 三日月、Scythe = 鎌 ...半月?
同名の武器は他に見当たらず、ROオリジナルの武器でしょう
ROではバフォメット(MVP)が所有しています

詳細

タロットに良く描かれ、
魔女に崇拝されるバフォメット(Baphomet)は
山羊の頭と脚を持ち、人間の女性の体と、烏の翼を持つと言われる

語源はイスラム教の開祖 : マホメッドが訛ったもの... 推して知るべし

ギリシャ語のBaphomet(5芒星)、
あるいはラテン語のBaphus(天界)が語源であるという説もある

別名 : 「サバトの牡山羊」
悪魔全体を指してバフォメットと呼ぶこともある
十字軍で有名な聖堂騎士団(テンプル騎士団)が崇めていたともされ、
この騎士団が異端審問によって潰される原因にもなった
とはいえ、バフォメット崇拝を告白したのはごく少数で、
その姿は証言ごとに違う

悪魔の王ともされる地獄の第一軍団の大将
プート・サタナチア(Put Satanachia)の別名ともされ、
女性を従属させる能力を持ち、召喚した魔術師に対して常に反抗的だとか

バフォメットが大鎌を持っていたという記述は、どこにもありませんが、
ファンタジーでは悪魔(デーモン)が武器として鎌を持つことは良くあります
「鎌 = 死」あるいは「魂を刈る」という普遍的なイメージから
不吉なものとして捉えて、そうなったのでしょうね

Scythe = 大鎌

英語で"鎌"というと、"falx"とか"sickle"になるが、
"scythe"と言うと大型の草刈鎌を指す

農耕用の鎌から発達したものですが、
武器として用いられたのは近世に入ってから

多くの人はタロットの死神が持つような
巨大な三日月鎌を連想するけど、現実にそのような武器は存在しません
実際のScytheの刃は柄の延長線上に真っ直ぐに付いた形をしており、
見た目としては内側が刃になっている薙刀、といった感じです

戦闘用ということもあって
農耕用の鎌とは柄と刃の比率が明らかに異なります
柄と刃が1:1にもなるような重厚なものもありますし、
グレイヴのバリエーションともなる長柄のものまで、様々

基本的に、非常に重い

扱いやすいようにいろいろな方向に取っ手をつけたり、
重心を取って石突に重りを付けたりと、武器として改良されてますが、
それでも扱い易いとは言えず、広まらなかった理由はこの辺りにあります

しかし、どう改良したところで鎌は鎌
純粋に戦闘用として開発されたハルバードなどに比べると
見劣りするのは否めず、正規の軍隊に採用された事はありません

ただ、農民にとっては扱いなれた道具であることから、
非正規軍の即席の武器としては、しばしば用いられたようです
目標を巻き込んで撫でるように斬り裂く凶悪な武器で、
破壊力"だけ"はかなりのもの

死神とは?

ROのクレセントサイダーは(刃がデカければ)、
死神の鎌、というものを彷彿とさせる

死を司る神というのは世界中に掃いて捨てるほど居るけれども、
ここでは一般的に最もイメージされやすいであろう、
鎌と骸骨の死神を例に取って話を進めます

死神というのは、"死"の象徴です
死を不吉なものを感じ、故に悪魔と同一視してしまうこともあるけれど、
別に邪悪な存在ではないのです

彼らの役目は、主なる神の命によりて定められた魂を刈り取って、
然るべき場所に無事送り届ける事にあります
言わば「死」という名の刈り入れ人
神に仕える農夫なのです

死神と死生観

注意すべきなのは、死神の「刈り取る」という行為は
決して゛生命を刈り取る゛という意味ではない、ということ
生命の゛罪と厄を払う゛というのが本質です

死神は死期が近づいた人の元に現れます
つまり別に死神が何かしなくても、どの道死すべき運命にあるということ
故にただ死ぬのではなく、死神に看取ってもらえるということは
幸福であるとさえ言えます

「死した魂が、迷うことなくあの世に行けるように道案内をする」

そう見れば、割と良い神様でしょう?
タロットで言う"死神"は死が転じて生にもなるわけで、悪いカードではない
ただ、直接的な死というよりは老いと時間の意味が濃いようで、
そこがまた恐怖を掻き立てるのでしょうね

言ってみれば「死」というものを概念化したものが「死神」なので、
解釈には個人や時代の死生観に大きく左右されるようです
ちなみにタロットで最悪なのは "塔"

死神のモデル

この死神のモデルは諸説あり、
骸骨に鎌を持った神や伝承がはっきりと存在する訳ではありません

ただ、彼が持つ"鎌"については、
ギリシャの神サトゥルヌス(Saturnus) に由来する、という説が有力です

一説によると、彼は農耕の神であるから
いつか訪れる"命の刈り入れ"に備えている... とのこと
この神様が <サトゥルヌスの鎌> というのを持っているらしく、
これが後の死神の鎌の元となった、というのが通説だそうです

骸骨は、ギリシャの渡し守 カロンに影響を受けた、という説を良く聞きます
地獄へ渡るための河の舟渡をしている、老人の姿をした謎の男です

なんにせよ、伝説、神話、寓話、民間伝承、ペストといった歴史的事実など
多種多様な話が混ざり合って形成されていったのは、確かなようです

タロットの死神

死神のイメージ形成において、
タロットが大きな役目を果たしていることは、疑いないですね
ただ、現存する最古のタロットは1392年の物とされており、
その時点で大鎌に髑髏という姿で描かれています

農耕具としての鎌の発祥起源は、辿ることは不可能に近いです
鎌自体に「刈り取る」というイメージがあるので、
鎌が死に直結する表現は太古からあります

どちらかというと、「鎌 = 死」の概念であり、
死神の描写は「おまけ」という考え方も、タロットからは窺えます

より詳しく語るなら、タロットに描かれる死神には、
グリム・リーパーとデス・ライダーの2種があります

グリム・リーパーは、初期から存在したデザイン
Cary-Yale Visconti(1428)やMarseilles(16世紀)で使われています
これには死神が大鎌を持ち、土に生えた人の首を切る姿が描かれており、
つまり、農作業から生まれたブラック・ジョークと言う人も居ます

デス・ライダーは、ウェイト版タロットに良く見られる「騎馬に乗った死神」
ヨハネ黙示録6章8の、青白い馬に乗った「死」に由来すると言われてます

三日月鎌/実践編

よく連想される巨大な三日月鎌が実際にあったとして、考えてみましょう
振りかぶって、目標を両断する光景を想像してみる

まず、重い。それも とんでもなく。そして切断もしにくい
斬る為には突き刺すだけでなく、あてがってから引く必要がある

一番の問題は、重心が柄の先端に集中してしまっているということ
しかも根元から刃先まで重量が分散しているので、
そこらの腕力じゃ振り抜くことすら困難です

ついでにグリップが甘いと、振る際に刃が引っくり返ってしまう

刃が両刃ならば、いくらか楽になる
先端を突き刺し、その勢いで振り抜いていくと
深く突き刺さるほどに傷口が広がり、結果として両断できる理屈だ

ただ... あれだけのモノを支えるだけでも凄いのに、
振り回せる腕力まであるのなら、柄をぶつけただけで即死な気がする
ま〜ゲームのキャラは力持ちだし、大きな問題はないでしょう(ぉ
何より持ち主はたいてい人外だし

三日月鎌/映画編

人外と言えば、映画 「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」で
主人公のルイがヴァンパイア達に復讐を果たす際に鎌を持ち、
ヴァンパイアを斬殺する武器として扱っている

「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」 を見れば、だいたい感じが掴めるかと
2つの取っ手、ひん曲がった柄、刃が小さいところに至るまで、
この鎌はバフォ鎌にそっくりです

ただし、劇中は既に19世紀なうえ、
件の鎌は恐らく劇場の備品だろうという推測は述べておきます
クレセントサイダーは、どうも押して斬るタイプのようですが (´-ω-)=3

しかし武器としての鎌は扱い難く、故にかなりの改良が試みられていて、
その過程では、押して斬るタイプの鎌も見られたそうです

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