加減って言葉を知ってるか?

Friday, Apr 07, 2006 - 03:30 +09:00

To be or not be, that is the question. - William Shakespeare, Hamlet

シェイクスピアは良いこと言った。なんでもそうだけど、特に制作を仕事にしている場合、作品の「質」と「納期」とのバランスが肝要です。やるべきか、やらざるべきか... それが問題だ。

求められたものを10とする。(その場限りなら)8だけ仕上げれば納得してもらえる。ぴったり10なら問題はないけれど、「こなした」だけなので次に繋がりにくい。納期を守り、要求を満たし、さらに+αを添えられたなら... そこで始めて満足してもらえる。これで12くらい。これが機会をモノにするということであり、チャンスを掴む基本。

繰り返しますが、重要なのは質と時間のバランスです。無限の時間があれば... 誰にだって良いものは作れる。速く仕上げるのなんて、手を抜けば簡単です。でも実際には「納期」という時間制限があり、その枠で要求を満たさねばなりません。そして質は高ければ高いほど良い。これは当然。

迫る現実の壁

さて納期というものは、たいていは不測の事態に備えて長めにとってあります。ま~普通にやってできる時間の、だいたい2倍みてれば良いと言いますね。実際には他にも仕事を抱えていることが多いので(てか普通)、それほど余裕があるわけではないのですが。

んで、納期を設定するということは基準となる所要時間が存在するわけです。コーダーであれば、ページ構成を見て「4~5時間あれば余裕だな。余裕見て2日もらおうか」などといった具合に判断できます。しっかりしてる所なら、作業ごとにチェック項目を設けて時間と料金の計算をしたりするでしょうね。

料金の計算はコストから。Web/ITだとコストは殆ど人件費ですから、月給20万の人だと「20万÷4週間÷5日÷8時間 = ¥1,250」となり、これが時間当たりの人件費に相当します。設備費その他諸々いれると、人件費の2倍ほど取れないと赤ということに。この場合だと¥2,500/hourですね。

2時間働けば5,000円、4時間働けば10,000円。なかなか想像しにくいですが、自分が常にこれだけの「価値を生んでいるか」と考えると、なかなかスリリングでしょう? 現実はかくも厳しいものなのです。

デザインは金にならない

こういった計算がもっとも辛いのが、企画とかデザイン関連。どっちも個人のスキルや閃きに依るところが多いです。良いものを作るには時間が必要だし、時間を掛けたからって良いものが上がる訳ではない。なのに本人以外から見ればしょ~もないところに、どうしても拘ってしまう性格を持っています。

デザインで採算が取れるようになるには、切捨てと割切りと細部への拘りが必要です。矛盾しているようですが、要するにメリハリを付けるということ。どうでもいいところはてきと~に。拘るべきはしっかりと。その辺の見極めというか、バランス感覚がデザイナーに求められる最重要スキルなのです。

これには経験が必要です。「とことん拘ったことがある」という体験があって、その上で取捨選択するという決断が重要。拘ったことがない人が切り捨てても、それは単なる手抜きに見えてしまうからです ...もう判るでしょう。これができる人、すっっっごく少ないです。Sig.にはまだ難しい。

微調整は落とし穴

「あ~でもない、こ~でもない」と悩み始めると、どうしても文字をちょっと寄せてみるとか大きくしてみるとか、微妙に角を取ってみるとか傾けてみるとか... そういった微調整に走りがちです。でも、重要なのはそこではない。微調整は仕上げです。

優れた企画書は、その着想というかコンセプトにそもそも惹きつけられるモノを持っているわけで。「何時までにこれを用意しよう」とかいう細かい取り決めでダメ企画が生まれ変わるかというと、それは考えにくいでしょう。デザインもそれと同じ。

悩んで微調整を始めたなら、「このアプローチは違うんじゃないか」と思ってみることです。微調整には完成度を高める意がありますが、評価や印象を180度ひっくり返すだけのインパクトは(通常)ありません。一歩退いて切り捨てたほうが効率が良いこともある。それを理解すること。

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