Web系就職 : 面接の心得

Tuesday, Nov 15, 2005 - 05:04 +09:00

少し前から面接官を任されまして、人事に口を出せるようになりました。何人もの希望者と話しをして、その10倍もの応募者を書類で落としました。もう随分と慣れてきて骨身に感じるのは、Webが人手不足ってのは本当だ~、と。応募者は山ほど居るんですけど... これはっ、て人は居ないんですよね。最低条件に引っかかる人がたまに居るくらいです。

さすがにこのまま黙々と落とすのも寝覚め悪いですし、ここらで人知れず基準というか、面接時の心得などを纏めてみようかと。ま、私的な感想ですけどね。

心得その1 : 時間ぴったりに来る

意外かもしれませんが、早めに来られるのは、ちょっと困ります。面接のために丸一日空けているわけではなく、ギリギリまで仕事をしていることが多いからです。あまり早くに来られると中途半端に仕事を切り上げなければならず、ついでに言うと心の準備もできてないので、きちんと話を聞けなかったりします。早めに来ることは悪いことではないのに、そのせいできちんと話しを聞けないのは残念なことです。

遅刻は論外。5分くらいなら大目に見ますが、当日のバックレなんて最悪です。でも、これが意外に多いのですよ。Web系は若者中心だし、イメージ先行してるから軽いのばっか来てるのかもしれませんが... 3人に1人はバックレます。理由なんか適当で良いので、来ないなら「来ない」と連絡してほしいものです。こっちは来客用に準備して、わざわざ仕事を置いてまで待ち構えているというのに... 仕事が進まないよ~っ

というわけで、来訪は時間ぴったりがベストです。写真は前日には用意し、早めに来て場所を確認し、約束の時間まで喫茶店で時間を潰すくらいの余裕を持ちましょう。ついでに身だしなみも確認しておけば、なお良し。

心得その2 : 作品は必須です

作品無しは、まず×です。向上心だけで採用するには、あまりにリスクが高いのがWeb業界。作品がないと現時点での実力も、成長速度も判断できません。一口にWebといっても、その懐は深く... ゼロから教え込むには時間が掛かるし、モノになる前に辞められる確率が高い。Web職は別段クリエイティブという訳ではないけれど、誰にでもできるという訳でもないのだよ!

モノとしては、紙媒体でもCD-RでもURLでも、ヲタな趣味サイトでも授業の課題でも卒業論文でも、なんでも構いません。とにかく持ってくること、まずそれが第一歩。できれば、昔の作品から時系列で何点か持ってきて頂けると嬉しいですね。作品ごとの成長度を見ることによって、将来性を判断できます。

Web系は技術職でありながら、システム会社のように人材育成のノウハウは確立されていません。技術を教え込む余裕があるところは少なく、そもそも趣味がWebくらいに独学できる人でないと変化についていけません。したがって既に一定の技術水準に達している、あるいは、放っといても達するだろう、と判断できることが合格ラインとなります。作品が無いってことは、つまり何もできないってことです。一から教える余裕はありません!

心得その3 : ディテールに拘り、それを説明すべし

あなたが未経験であるならば、何か1つ拘りを見つけて、とことんそれに凝るべきです。作品の見た目がさっぱりでも、ソースが綺麗で理に適っているのならコーダーとして芽があります。デザイナー志望ならば半端に標準を気にするより、見た目とUIの実用性をとことん追求しましょう。目に見える技術でなくとも、広く浅くであったとしても、作品を通して何らかの信念が見えたなら、それが大きなプラスになります。

そして拘ったならば、それをアピールしましょう。あることに拘り、未熟であっても実際に為したことこそが重要であり、それを説明することによって初めて評価の対象となりえます。「ユーザー中心のデザインがしたい」、なら何をした? 「Webに身を置きたい」、それはどうしてか? 「こんな絵を描きました」、用途は? 効果は? 法則は?

Webは現在進行形でどんどん深く、広くなっています。何にでも手を出してみることは大切ですが、その経験は、既に武器があってこそ活きるもの。まず基礎となる柱がないと、いつまでたっても半端なままです。これという武器が1つでもあったなら、こう言うことができます。「私は○○という点で、御社に貢献できるでしょう」

心得その4 : 過信は禁物。なにより謙虚であるべき

自信があるのは良いことです。卑屈であるのはマイナスです ...が、成長するのに必要なのは、謙虚さです。「CSSができます」と断言しつつもテーブル・コーディングだったり、コーダー希望でありながら<font>タグを推奨タグだと思ってたり、芸大やDTP出身でも参考サイトはお絵かき以下だったりとか ...こういうのは、まずダメです。とりあえず今日は参考サイトなしの早稲田卒を書類で落としてきました。

つまりは、現状認識の問題です。「未熟である」と感じることが成長の第一歩だとするのなら、彼らはそこにすら立っていない。「できる」と思っている人間に「実はできない」と悟らせるには、どれほどの労力が必要なのだろう? そもそも他人の言うことなんか聞くのだろうか? 聞いたところで実際に這い上がってこれるのか? いずれにせよ面倒であることだけは疑いない。

好意的に考えるなら、彼らはきっと、卑屈に見られないように敢えて強く出たのでしょう。だとしたら残念なことです。期待が大きかっただけに、裏切られた失望は強い。一度貼られた「見掛け倒し」のレッテルは、そうそう剥がれてはくれないのですから。

心得その5 : 前職持ち、1年は勤めたか?

勤続期間というのは、けっっこう重要です。それはつまり、多少の不満や意に沿わない状況でも踏ん張れたという証明であるからです。高卒資格と同じですね。その意味で正社員ならば2~3年。バイトでも1年は継続して働いていてほしいもの。

Web系は転職に寛容なことで知られていますが、無節操ではありません。とりあえず「実務経験を積みたい」という理由で応募してきた人が、前職Web系で3ヶ月で辞めてるようだと説得力皆無ですね。その会社が合わなかったのかもしれませんが、たとえアルバイトだとしても、仕事としてWebに触れる機会がありながら、ほんの数ヶ月で辞めてしまったわけですから。

どんな仕事でも、辛い時期ってのはあります。遊びでないのですから当然です。辛きを耐え、踏み越えてこそ大人というものです。すぐ辞めた人は、すぐ辞めると思われてしょうがない。辞めた理由ってのも、いちおう聞きますよ?

まとめ

いろいろ言いましたが、作品にある程度のレベルがあって、謙虚さが感じられ、真面目に勤めてくれそうなら、まず問題ありません。

とはいえ、それが少ないのですよね... 謙虚さは書類選考で、真面目かどうかは話せば判ります。問題なのは、作品か... こればっかりは「頑張ってくれ」としか言いようが無いですね。大切なのは、妥協しないことです。割り切るのは仕事で嫌というほどしますから、必要がないときに割り切るのは、単なる怠惰。

あぁそう言えば、もう1つだけ重要なことがあった。「一緒に働きたい」と思えること。やっぱこれが決め手かな?

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1 Comments

1. Sig. / November 16, 2005 at 01:32

ちょいと追記。
求人サイトなんかでは応募に〆切りとかあるけれど、実際の話、IT系は人材不足なのでまっったく関係ありません。気にせずどんどん送っちゃってOK!

〆切りってのは、広告を掲載する側の問題なのです。例えば求人サイトに○○円払って□□週だけ掲載してもらう、みたいな。だいたい企業は一人雇うのに30万くらい使うらしい。

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