指輪物語の作者 / J.R.R. トールキン
本名 ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン(John Ronald Reuel Tolkien)
『ホビットの冒険』と、その続編である『指輪物語』の著者
オックスフォード大学で、1925年〜1945年に古英語の、
1945年〜1959年には英語及び英文学の教授を務めています
彼は辞書編集者であり、アングロサクソン語と古ノルド語のエキスパート
オックスフォード大学の文学討論グループ:インクリングズのメンバーで、
親友のC.S.ルイス(ファンタジー作家、神学者)もメンバーの一人
トールキンを世界的に有名にしたのは、
『ホビットの冒険』と『指輪物語』、そしてそれらの舞台になった「中つ国」
言語学者:トールキンによる圧倒的な教養と考証を基にしており、
緻密な世界設定と雄大なストーリーは、今なお熱狂的に支持されてます
彼の影響を受けていないファンタジー小説は、無いと言って良いでしょう
トールキンが言語学者であることに驚く人も多いかもしれない
言語は文化であり、同じく時代と共に変化していきます
その発生・発展・変化は一つの文明の歴史・形態と同義です
ゆえに言語の研究は言語圏の歴史と文明のシミュレートに等しく、
架空の言語を作ろうとしたならば、一つの物語を創造することでもあります
基本構造からの発展、外部との交流による変性・融合、
省略や、流行語の一般化などが判りやすい例
トールキンは言語学への熱意から、2つの架空言語を創造しました
今日ではエルフ語として知られる言語で、
クウェンヤ(西方の公用語。上のエルフの言葉)と
シンダール語(中つ国の灰色エルフ語)という2つの言語です
これらの言語のためにテングワールやキアスといった文字を創ります
この2つは物語中ではエルフたちの自然言語として考えられていますが、
現実世界から見れば人工言語という位置付けになります
発音から文法・語彙に至るまで詳細に練られており、
その歴史的背景から分派し、別々に発展したり、
方言が一般的になったりで、さらに幾つもの言語が生まれています
それらの言語の歴史として創世から考え出されたのが「中つ国」です
トールキンは、自らの空想が認められるとは夢想だにしなかったらしい
ただ、子供たちを喜ばせるために話を作ることはとても楽しみにしてました
かつての生徒のとりなしで『ホビットの冒険』を出版したのが1937年
これが意外にも大人にも読まれ、好評を博したことから
かの名高い『指輪』が世に出ることになります
完璧を目指すトールキンの意向で、
『指輪物語』の完成には優に10年の時を要した
トールキンは作品を一巻本で刊行しようとしていたため
3部作として有名な『指輪物語』は、一つの小説として構想されており
厳密には゛3部作゛という表現は正しくない
これは戦後の紙不足が大きな理由で、
一巻本として6部構成だったのを、3巻に分けて発表したことになります
- 『旅の仲間』(第1部、第2部)
- 『二つの塔』(第3部、第4部)
- 『王の帰還』(第5部、第6部、追補編)
ちなみに゛王の帰還゛という題名はあまりに直接的なため、
トールキンはあまり好きではなく、もとは"指輪戦争"を提案していましたが
結局今のものに落ち着いたのは、出版社の意向です
ちなみに『ホビッドの冒険』の主人公は、ビルボ・バギンズ
『指輪物語』の主人公:フロド・バギンズの義父です
『指輪』ほど有名ではありませんが、
トールキンは言語学の専門家として多くの翻訳も手掛けています
『ベオウルフ』や『サー・ガウェインと緑の騎士』などでは
研究・現代英語訳などに多大な貢献を残してもいます
トールキンの死後、息子のクリストファ・トールキンが
残された膨大な資料の整理にあたり、『シルマリルの物語』を出版
続いて『終わらざりし物語』、全12巻+αの『中つ国の歴史』などを出版
これらは中つ国の神話・英雄・歴史を体系化した作品
ガイ・ゲイブリエル・ケイとの共同作業だったとはいえ
トールキンの草稿を判読することは困難を極め、個人的に親交があり、
物語の発展に常に関わりをもってきたクリストファでなくては
為しえることは不可能だったでしょう
『指輪』がこれほどまでに支持されているのは、彼によるところも大きい
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