北欧神話 / 世界観

  1. 概観
  2. 世界観
  3. 第一平面
  4. 第二平面
  5. 第三平面
  6. 世界樹

概観

まず北に、雪と氷で覆われたニブルヘイムがあり、
南の方に、炎で揺らめき輝くムスペルと呼ばれる領域があり、
2つの領域の狭間に、広大な裂け目(ギンヌンガガップ)があった

ニブルヘイムの氷と、ムスペルの炎がギンヌンガガップで出会い、
溶けた氷からユミルという巨人と、アウドムラという牝牛が生まれる
そしてアウドムラが舐めた氷から、ブーリという人間が現れる

ブーリの息子がボル、ボルの息子がオーディン、ヴィリ、ヴェー
ボルの3人の息子はユミルを殺し、その骸から世界を作る

以上が、北欧神話における天地創造のあらまし
天地創造については、いずれ機会があればお話しましょう

とまれ、それらのすべての場所と出来事は
ユグドラシル(トネリコの大樹)の、枝の下に広がっているものです
世界樹 : ユグドラシルはいつも存在していましたし、
今も存在し、 これからも存在し続けるでしょう

△ back

世界観

北欧神話の世界観では、
3つの宇宙と9つの世界があるとされ、
それらを貫き、連結する世界樹があるとされます

3つの板状の宇宙があって、
それらの上に9つの世界(社会)が点在し、
世界樹 : ユグドラシルの根が各平面に伸びています

図にすると↓みたいな感じかな

第一平面 (上段)

第二平面 (中段)

第三平面 (下段)

ヘルとニブルヘイムを一つの世界とするなら、
9つめの世界は炎の国 : ムスペルヘイムだとする説もある
ただムスペルは南だというだけで、3重の宇宙構造には場所を持たない
さらにムスペルの位置については、明確な記述が存在しない

アースガルドとミッドガルドは
燃えている3色の虹の橋によって繋がっている
これはビフレストと呼ばれ、素晴らしい技術と狡智で作られている

各平面には世界樹の根が伸びており、その先に泉が湧いている
それぞれは上から、ウルドの泉、ミーミルの泉、フヴェルゲルミルの泉
ウルドの泉はアースガルド、ミーミルの泉はヨーツンヘイム
フヴェルゲルミルの泉は、ニブルヘイムの中央にある

フヴェルゲルミルの泉の傍には、悪竜 : ニドヘグがいる
ニドヘグと彼の眷属の蛇たちは死骸を引き裂き、世界樹の根を齧っている
対してユグドラシルの頂上には、鷲の巨人 : フレースヴェルグがいる
彼は翼を羽ばたかせることによって、風を起こしている

そしてリスのラタトスクが、竜と鷲の間に悪口を運んでいる

△ back

第一平面

アースガルドは、戦士の神々であるアース神族の領域
城壁によって囲まれており、戦死者の住まう館 : ヴァルハラもここにある
ラグナロクの舞台ともなる、ヴィグリードという広野がある所でもある

ヴァナヘイムは、豊饒神であるヴァン神族の領域
ヴァン神族はアース神族と交戦し、後に連合するまでは
この地に住まっていたとされる

アールヴヘイムは、光の妖精たちの国

P.S.
アース神族の筆頭は、オーディン、トール
ヴァン神族の筆頭は、フレイ、フレイヤ など

△ back

第二平面

ミッドガルドは、人間の住む中央の世界
「渡るのが不可能と思われるほど」広い大海に周囲を囲まれており、
その海を一捲きして、さらに自分の尾を咥えるほど長大な蛇も住んでいる
彼はヨルムンガンドとも、ミッドガルド蛇とも呼ばれる世界蛇である

ヨーツンヘイムは、巨人たちの世界
ミッドガルドの中の、海辺に沿った東の山地にあるとされる
巨人たちの城砦であるウトガルドも、ここにある

ニダヴェリールは、小人たちの国
ミッドガルドの北方にあるとされ、小人たちは洞窟や洞穴に住んでいる

スヴァルトアールブヘイムは、黒妖精たちの国
ニダヴェリールに近く、どこか下の方に存在するとされる
小人と黒妖精はよく混同され、明確な境界を引くことができない

△ back

第三平面

ニブルヘイムは、霧と寒気と果てしない夜が支配する土地
ミッドガルドの遥か北の下方に存在するとされる

ニブルヘイムにある死者の王国が、ヘルと呼ばれる
ヘルは同名の恐ろしい女性に支配されている

ヘルとニブルヘイムは良く混同されるが、
北欧人は両者を区別していたようで、悪人はまずヘルに行き、
そしてもう一度ニブルヘイムで死ぬ ...ように思える

ところでミッドガルドは、ギンヌンガガップの上に
神々がユミルの遺骸を積み上げて造り出したものだ
ギンヌンガガップは、北のニブルヘイムと南のムスペルに挟まれている

ムスペルの位置は明確化されていないが、
第三平面上に 「ヘル ⇔ギンヌンガガップ⇔ ムスペル」
...と並べて考えると、位置関係が想像しやすいのだが、どうだろう?

△ back

世界樹

世界樹 : ユグドラシルは三つの平面と九つの世界を貫く
巨大なトネリコの樹である

創世以前から在り、起源も知られず
13世紀の文学者 : スノリ・ストルルソンは、
「その枝は全世界の上に拡がり、天にまで届く」 と語っている

ユグドラシルには3本の根がある
第一の根はアースガルドの ゛ウルドの泉゛ へ
第二の根は一本はヨーツンヘイムの ゛ミーミルの泉゛ へ
第三の根はニブルヘイムの ゛フヴェルゲルミルの泉゛ へと潜っている

ウルドの泉は、3人のノルンによって守られている
3人はウルド(運命)、スクルド(存在)、ヴェルダンディ(必然)、
彼女たちは、ウルドの泉の水と粘土とをユグドラシルに振りかけ、
今も枯れてしまいそうになるユグドラシルを護り、支えている
この泉は、神々が毎日集って会議をする場所でもある

ミーミルの泉は、賢いミーミルによって守られている
この泉は゛知恵の泉゛とも呼ばれ、味わうものに洞察力を与えるとされます
オーディンはこの水をただ一飲みするためだけに片目を差し出しています
神々の見張り番 : ヘイムダルの角笛が保管されている場所でもあります

フヴェルゲルミルの泉は、ニブルヘイムの中心にあり、
エリヴァーガルとい名付けられている十一の川の源泉です
この近くに悪竜 : ニドヘグと他の無名の蛇たちが居て、
ユグドラシルの根を齧っています

ユグドラシルの頂上には、鷲のフレースヴェルグがいる
リスのラタトスクが、ニドヘグからの悪口を彼のもとに運んでくる

枝々を跳ね歩く、鹿と山羊に新芽を食いちぎられもする
4頭の雄鹿は、ダーイン、ドヴァリン、ドゥネイル、ドゥラスロル
ユグドラシルは 根を齧られ、新芽を喰われ、幹そのものは腐りかけている
ノルンたちが世話をしなければ、たちまち枯れてしまうだろう

ユグドラシルは全ての樹の中で、最も偉大で最善だとされる
この樹は創世以前から既に在り、ラグナロクを越えて生き続ける
永遠の象徴でもあるこの樹は、<恐ろしき者の馬>とも呼ばれる

これは、絞首刑になることをヨーロッパでは「馬に乗る」と表現し、
オーディンがルーン文字を掴むために自らの首を吊った、という逸話から

« 神話・伝承 | 北欧神話(世界観) | オーディンと主要十二神 »