ケルト人とケルト神話

  1. ケルト神話
  2. ケルト人について

ケルト神話

ケルト神話は、ケルト人に伝わる神話郡
現在ではアイルランドやウェールズなどに僅かに残っている

エリン(アイルランド)に訪れた幾つかの種族による、ダーナ神話
ミレシア一族がダーナ神族を破った後の物語である、アルスター伝説
アルスター伝説から3世紀ほど後のフィアナ騎士団を描く、フィアナ伝説

以上3つの物語郡に分けられる
ケルト神話は体系的な創世神話が存在しない珍しい神話で、
(あるいは在ったかもしれないが残されていない)故に散文的だが
世界の起源よりは人々の生活に目が向けられており、
魅力的な神々や英雄が多く登場する

一般的に日本で「ケルト神話」と言われるのは、ダーナ神話
女神ダヌ(Danu)を母神とするダーナ巨人神族(Tuatha De Danann)が主
ダーナ神族がアイルランドを追われ、後に支配し、敗れ去るまでを描く
世界観や神々などはアーサー王伝説と強い関連性をもっている

※光の神ルー、戦いの女神モリガン、奇跡の釜を持つダグダなど

アルスター伝説は、英雄ク・ホリン(クー・フーリン)の物語が主
アイルランドの北部、アルスター地方の1世紀ごろの世界を中心とする
アルスターの王コノールに仕えたク・ホリンたちによる英雄神話郡

※英雄ク・ホリン、女王メイヴ、英雄フェルグス、ノイッシュとディアドラなど

フィアナ伝説は、英雄フィン・マックールが特に有名
ク・ホリンから3世紀後。コーマック・マックアート王が統治した時代の物語
フィンが結成したフィアナ騎士団。その3代続く物語がフィアナ伝説郡
現在で一般に知られている騎士道はまだ存在していないが、
忠誠・礼節・誓約(ゲッシュ)などに源流はみることができ、
アーサー王伝説と多くの共通点を持っている

※英雄フィン、子のオシーン、孫のオスカー、騎士ディルムッドなど

△ back

ケルト人

紀元前1,200年〜紀元前700年ごろ
中央アジアの草原からヨーロッパに渡来した民族

欧州の各地に分立し、鋭利な鉄製武器と
馬と車輪付きの乗り物(戦車)に乗った戦士階級によって支配された
ギリシア・ローマなどの南欧社会としきりに交易を行った文献が残っている
やがてゲルマン人に圧迫される形でフランスやスペインに移動し、
紀元前1世紀にはローマのカエサルによって征服される

そのときカエサル(ジュリアス・シーザー)が残した
『ガリア戦記』はケルト社会に関する貴重な資料として知られている

大陸のケルト人はローマに吸収される形で消滅するが、
ブリテン諸島(イギリス)まではローマの支配も完全には及ばず、
特に西部のウェールズは後のアングロ・サクソン人の侵略をも跳ね除け
現在でもケルト的な文化・言語が残っている貴重な地域だ

他にケルト的な文化・言語が残っている場所は
ブリテン島南西部「地の果て Land's End 」コーンウォルや、
コーンウォルからサクソン人に圧迫されて移住したブルターニュ地方
そもそもローマの支配すら受けなかったスコットランド、アイルランドなど

ケルト人たちの宗教は、自然崇拝の多神教
ドルイドと言われる僧侶が特に有名

ドルイドたちの知識は歴史・哲学・文学・音楽など多岐に渡り、
その知識で司祭・占い師・学者・医者・裁判官など様々な役割を兼ねた
だが彼らは数々の秘儀が一般人に知られることを良しとせず、
伝承は主に口伝によって行われていた

そのため、ローマやサクソン人によってケルト文明が破壊された今日では
当時のケルト文化は断片的な神話の知識からしか窺うことはできない

« 北欧神話とエッダ | ケルト人とケルト神話 | 光の神ルー »