モダン・ブラウザの問題点
Sunday, Jul 31, 2005 - 03:14 +09:00
いわゆる「モダン・ブラウザ」... なかでもバージョン7以後の比較的新しいブラウザは、W3Cの仕様に従って構造的なHTMLと妥当なCSSによってコーディングを行う限り、特に大きな問題もなく、制作者の意図した通りに表示してくれる。たとえばOpera7-8、Mozilla、Firefox、Safariなど。CSSレンダリングにおいてバグだらけのIEとは、まさしく月とスッポン。比べるだけ野暮ってもんです。
でも問題がない訳ではない。
ネットの海にあまねく存在するGeekたちに揃って酷評されるIEことInternet Explorerは、確かにバグだらけ。CSSに対応してはいるが(今となっては)お世辞にも優れているとは言いがたい。とはいえ、そのバグが転じて様々な抜け道やHack... つまり対処法が確立されており、Web制作において度々直面する数々の問題は、実は容易に解決できる。
対してCSSレンダリングに優れたモダン・ブラウザでは、仕様に従う限りめったに問題は発生しない。だが歴史が浅いこと、シェアが少ないこと、必要性に欠けること、なによりHackに使えそうな構文解析バグがそもそもないことなどから、逆に問題発生時の対処法が殆どなかったりする。このため1つの問題に対処しようとすると、それまで問題のなかったブラウザにまで飛び火してしまう、という厄介な状況に陥ってしまったりもする。
特に顕著なのがFirefoxだ。Firefoxは最新と言って良いブラウザで、優れたツールであることは疑いようがない。けれども、絶対配置時の幅の解釈や基準ボックスの扱いなど、致命的ともいえる表示上の問題を幾つか抱えており、手放しで絶賛されるほど完全無欠という訳ではない。W3Cの勧告自体が曖昧な点を多く含んでいることを考えれば責めることではないけれども(むしろFirefoxは良く努力している)、しかし現実としてFirefox"だけ"が巧く表示されない現象と言うのは、確かに起こりえる。
そういった場合にピンポイントな「対処法がない」というのがモダン・ブラウザの大きな問題だ。では、どうするか? 初めからモダン・ブラウザ用にコーディングするしかない。幸いにして、Web標準に準拠したブラウザでは、仕様に従う限り特に問題もなく同じように表示してくれる。モダン・ブラウザで問題なく表示確認できれば、たとえ古いブラウザでバグが表れたとしても、使い慣れたHackを用いて対処することができる。
Hackを使うべきか?
ところでHackとは、その語源から判るように文字通りの「裏技」だ。便利ではあるけれど、多用すればコードを長く、複雑にする。Web制作はグループ作業だ。納品後の更新作業や、後で編集の必要に迫られた時の問題もある。コーディング担当者にしか理解できないソースはできることなら避けたいし、使わないで済むならばそれに越したことはないのだ。基本的に。
一方で仕事としてのWeb制作には納期というものがあり、これを守ることが何よりも優先される。納期を守れてこその"工夫"や"Web標準"だ。些事に拘るあまりに遅れてしまっては、元も子もない。バグへの対応としてCSSを組みなおしたりしていると、どうしても時間が掛かってしまう。開発の関係上、1ページを3~4時間で組まなければならないこともある。問題の修正に時間が掛かってしまいそうなら、Hackを使用することを躊躇ってはならない。
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