Ro novelize

taleshift_2

薄暗い地下水路を歩いていた

迫りくる亡者を消し飛ばし、悪魔どもの拷問部屋を通過した
陰鬱な瘴気を潜り抜け、深い闇に覆われた階段の奥
そこは魔の巣窟とは思えぬ澄んだ水路だった

冷えた風が運んでくる水音に、誘われるように奥に進む
薄暗く静謐な空間を、淡く光るファイアブランドが朧気に照らしている
亡霊も、悪魔も、怪物も、どうやらここには居ないようだった

静かな空間が、取りとめの無い思考に彼を誘う

かつての仲間たちのことを考えていた
郷愁や感慨は無く、どこか焦りに似た情動が少しだけ
しかし彼の内的世界は、冬の湖面にも似た静けさに支配されている
今を生きる実感に満足しつつ、垣間見えた昔日の面影に
どこか寂しい気もしていた

道は別たれた、という実感だけが強烈に印象に残った
2つの道は時に交差し、近付くことはあっても
もう決して重なり合うことは無いのだと

彼と彼らは、既に違う世界に住んでいる
彼らには彼らの、彼には彼の目的があり、各々に為すべきことがある
目的が違う以上、いま共に歩むべき理由は見当たらなかった

ならば今は、やるべきことをしよう

ロアンは、ファイアブランドを強く握り締めた
彼の意思に呼応し、宝剣は輝きを増す

薄暗い闇の奥で、何かが蠢く気配がした---

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