Web2.0とは
Thursday, Dec 01, 2005 - 03:24 +09:00
Web2.0という言葉を、ちらほら耳にするようになってきました。商品名とかアプリケーションのバージョンではなく、ドットコム・バブルの崩壊を転機として生まれたある種の「概念」のことです。一言で言えば、「次世代Web」の概念。哲学というか流行みたいなもので、Webの動向に敏感な人なら、特に勉強してなくともなんとなく感じていることかと思います。
Web2.0は、その意味を明確には定義されていません。ここら辺が「概念」と呼ばれる所以だったりしますが、故にしばしば論争にもなったりもします。いちお基本的なポジションと原則は存在しますが、原則が8つもある時点で幅の広さが窺えたり。また、「2.0」という言葉が未来を示す暗喩であることから、「実現している技術はWeb2.0ではない」という意見も見られます。
Web2.0には第一の原則「プラットフォームとしてのWeb」をコアとする、8つの原則が定められています。
- プラットフォームとしてのWeb
- 情報の自己コントロール
- パッケージソフトウェアではなく、サービス
- 参加のアーキテクチャ
- 高い拡張性とコスト効率
- 再構成可能なデータ効率とデータの変換
- 単一デバイスの枠を超えたソフトウェア
- 集合知の利用
もちょっと簡易に纏めるとしたら、Sig.が特に注目するものは、以下の3つ。
- 無償のWebサービス
- 参加のアーキテクチャ
- ロングテールの重視
無償のWebサービス
ソフトウェアをパッケージとして売るのではなくて、何時でも何処でも誰にでも使えるWebサービスを保守・運営していくことで利益を得る手法。Googleが典型。技術(ソフトウェア)を売るのではなくて、優れたサービスを提供することで利用者を集め、集客効果を利用して間接的に稼ぐビジネスモデルですね。
なにより無償というのがポイントです。ちょっと探せば質の高いフリーソフトが幾らでも見つかる今日において、購入されるソフトウェアはOSや高価な業務用ソフトが主であり、「ソフトウェアで人を集める」という試みは難しくなってきています。Google、Apache、Amazon、Wiki... 人は刺激的で興味深い無料のサービスに集まる。これが事実。
Web2.0なシステムにおいて、企業は無償のサービスが「利用」されることで収入を得ます。世界シェアNo.1の検索エンジンを運用するGoogleも、ECサイトとして一線を画する規模に成長したAmazonやeBayも、サービスそのものは無料であり、サービスの利用料で稼いでいるわけではない。仮にこれらのサービスが有料であったなら、今日の立場は無かったことは容易に想像できます。
参加のアーキテクチャ
当初からユーザーの参加を促すように設計されているシステムのこと。典型的なのはオープンソースなプロジェクト。あるいはBitTorrentとかNapsterとかWinnyに代表されるP2P技術。もともとあるシステムにユーザーが価値を付加するという点がWeb2.0の重要な教訓であり、原則です。
参加の動機が「ボランティア精神」ではないことに注目。ユーザーがシステムに参加するのは、それがユーザー自身の欲求を満たす行為であるから。オープンソース・プロジェクトに参加するのは、誰にでも自由に機能を拡張できるから。P2Pでファイルをアップロードするのは、ダウンロードが楽になるから。自分が楽しもう、自分のツールとして利用しよう... そういった利己的な行為が結果として全体に貢献する仕組み。それが、「参加のアーキテクチャ」というもの。
こういったユーザー参加型システムの試みは、いわゆる集合知の利用と密接に関わっています。Wikipediaがその典型。誰にでも投稿・編集できる仕組みは正確性を多少犠牲にしましたが、それを補って余りある幅の広さと即時性の獲得に成功しています。「群衆の英知」を利用すること。人が集まればシステムが自然と改善される仕組み。これがWeb2.0の本質と言えるでしょう。
ロングテールの重視
中心だけでなく周辺を重視し、活用すること。巨大なトラフィックを誇る有名サイト(頭)だけでなく、Webの過半数を占める「個人の活動」(長い尾) を活用できる仕組みを構築する。いつも利用してくれる「お得意さん」だけでなく、気まぐれな「通りすがり」が一回だけ行った活動をも取りこぼさずに集計するってこと。
これは、軽量かつ効率的なシステムを自動化することによって実現できる。それは単純であり、故に高速であり、誰にでも容易に利用できる。このシステムは膨大な情報を蓄積し、価値あるデータとして利用できる仕組みを提供する。そのインターフェイスは単純であるが故に、公開すれば自由に拡張(活用)することができる。
Webにおける力というものは、なんてことのない個人の総和が、大口の企業顧客を上回ることが多い。Web2.0なシステムは個人レベルの活動まで効果的に取り込んで使用し、結果得られたデータを利用できるインターフェイスをも提供してさらなる活用を可能とする。GoogleやAmazonのAPIみたいなもんですね。
まとめ
要するにこれからは、「永遠のβ版」がブームってことです。モノの品質そのものよりも、サービスを続けていく中で自然と良いものに仕上がっていく"仕組み"を設計することが大事ってことですね。サービスを利用することでサービス自体に付加価値が付いていく仕組み...か。なんだかシステム寄りに過ぎる気もするんだよね。納得できるけど。
ま~概念は概念です。1回纏めれば十分!
参考(CNET)
posted in Web | Comment (3) | Trackback (0)
3 Comments
- 1. 春夏 / December 02, 2005 at 17:24
ゲーマーから言わせて見ると
最近ではハンゲ・ネットマーブルとかの無料ゲーム・基本無料ゲームとかがありますねー
自分も無料ゲームやりながらもついつい追加アイテムやアバターに手を出してしまいますからw
- 2. Chihiro / December 03, 2005 at 01:02
春夏様、Sig.様こんばんは。
ゲームといえば、ガンホーが一時期ROと連動するSNSを提供すると言っていたような記憶もありますがあれはいったいどうなったのでしょうか。
興味があったのに情報が全くなくて悲しい……と思っていたらかわりにこんなものをみつけてしまいました。
ガンホー、がんばってますね。
- 3. Sig. / December 03, 2005 at 16:07
こんにちわ、ご両人。
ゲームはアプリケーションであってWebサービスではありませんから、Web2.0とはちょい話が逸れますが... ま、感覚的には似たようなもんかな。ソ○ーがそれ自体は赤字覚悟のPSPで稼いでるのと似てなくもない。てか「ラグブログ」ねぇ... 「ラグログ」のほうが語呂が良いのに(違) 話的には昔~からあった案がようやく出てきたわけですが、ガンホー主催の企画ってのは無駄にコミカルで過度にヲタっぽくて、どうにも肌に合わなかったり。
公式でブログスペースを用意すること自体は良いことだと思いますけどねっ
Trackback
- このエントリーのトラックバックURL
- http://rospear.info/other/mt-tb.cgi/101