Webサイトの文章表現
Friday, Apr 22, 2005 - 01:09 +09:00
新聞の写真をそのままテレビで流しても分かりにくいように、各メディアにはそれに適した表現方法というものが存在します。Webという媒体に適した文章の「書き方」についてのコラムです。
Index
Webという媒体では、斜め読み/飛ばし読みが基本。ページ表示からわずか数秒で全体を流し見て、目的の情報がないと判断したらすぐに離れてしまいます。以下の事柄に留意しておく必要があるでしょう。
- 重要なポイントは最初に書く
- あいまいな表現や意味の重複、冗長さを避ける
- 引用時には、読み手が引用元を参照できるように配慮する
- 専門用語・略語には説明をつける
- 人名・サイト名など、固有名詞は正確に
- 差別用語には注意する
重要なポイントは最初に書く
「この文章には読む価値がある」と早い段階で判断できなければならない。まず結論を書き、それを説明・補足していく形で書き上げていくこと。そのほうが論旨も一貫したものになるし、ユーザーも一見しただけで内容を判断できます。
Webは本ほど熟読には向かない(統計的にも読む速度に違いが出る)ため、斜め読みが基本です。読み手に「最初から最後まで読んでくれる」なんて期待はしないこと。「起承転結」は物語を盛り上げる手法であって、考察には向きません。
あいまいな表現や意味の重複、冗長さを避ける
推測を前提とした文章には説得力がない。
真意を確信できない表現は読み手を困惑させる。
大切なのは分かりやすくしようと説明を加えることではなく、論点を明確に言い切ることです。削れる所はどんどん削ってしまったほうが洗練され、明快な文章になります。
引用時には、引用元を参照できるようにする
引用は自分の意見や根拠を明らかにするために用いるのであって、読み手が意見を検証しやすいように引用元(URL、書籍名など)を参照できなければ意味がない。また引用文が引用元でどのように使われているか、引用時に変更されていないかを確認できるようにしておくこと。
引用文の扱いは、文章の品格と信頼感をも表します。たとえば引用元での構成や論点を無視して都合の良い部分だけを抜き出したり、それらを継ぎ合わせて利用したりすると故意に事実を曲げたことになり、説得力や信頼性を大きく殺ぐだけでなく、引用元にも不快感を与えます。
専門用語・略語には説明をつける
自分がよく知っている言葉であっても、読み手が知っているとは限りません。狭い世界でしか通じない特殊語や隠語などは極力避けるべき。専門用語に関しても、学者や専門家に対象を限るのでなければ、説明をつけるべきです。
説明の仕方としては「W3C(World Wide Web Consortium : Web標準を決める非営利団体)」といったように、なるべくページ移動せずに参照できる方法が望ましい。
人名・サイト名など、固有名詞は正確に
固有名詞の表記ミスは、ダメージが大きい。読者は対象を確信できずに困惑するし、間違って別の内容に繋がると誤解を招くことがあるからです。なにより不十分な知識だと感じられ、説得力を大きく殺ぎます。
特に人名などは対象への誠意をも表すので、やや神経質なくらいでちょうど良いと言えます。サイト名のように対象を明確に表すことができるURL等が存在するのなら、併せてリンクしておけば読み手の安心感に繋がります。
差別用語には注意する
単純に不快だと思う人間が存在するため、避けなくてはなりません。配慮に欠けた感情的な文章ということで、品格は言うまでもなく、文章の説得力と信頼感が激減します。
そして、こうした差別に不快感を抱くのは差別対象者だけとは限りません。Web上で公開する以上、多くの目を意識しなければなりません。
まとめ
結論は先に述べること。あれこれ説明するより簡潔に言い切ること。他者に誠実であること。難解な表現に陶酔しないこと。読み手の痛みを意識すること。
文章の書き方には個性があり、文法上では妙なことが面白みに繋がったりもします。ここまで述べてきたことは押しなべて重要なものの、あくまでも一般論であって、結局はケース・バイ・ケースであるということを付記しておきます。
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